🌱「どうせ私なんて…」から抜け出す!思考のクセを知り、未来を拓くキャリアのヒント
「どうせ私なんて、やっても無理だ」 「また失敗するに決まっている」 「あの人みたいにはなれない」
もしあなたが今、そんな風に感じて、なかなか最初の一歩が踏み出せないでいるとしたら、それはあなたの能力や才能がないからではありません。もしかしたら、あなた自身の「思考のクセ」が、無意識のうちにあなたのキャリアの選択や行動を制限してしまっているのかもしれません。
これは、誰にでも起こりうることです。心理学の分野では、「認知療法」の提唱者であるアーロン・ベック博士が、この「思考のクセ」が私たちの感情や行動に大きな影響を与えることを示しました。
今回は、あなたが持つ「思考のクセ」に気づき、それをポジティブな力に変えて、未来を拓くためのヒントをお届けします。
なぜ、「どうせ私なんて…」と思ってしまうのか?〜キャリアを停滞させる「思考のクセ」とは〜
私たちの心の中には、日々様々な考えが浮かんでは消えていきます。認知療法では、特に意識することなく瞬時に頭に浮かぶ思考を「自動思考」と呼びます。そして、この自動思考の中には、現実を歪めて捉えてしまう「思考のクセ(認知の歪み)」が潜んでいることがあります。
大切なのは、出来事そのものではなく、「その出来事をあなたがどう捉えるか」が、あなたの感情や、その後の行動に影響を与えるということです。
キャリアにおいて、陥りやすい「思考のクセ」の具体例をいくつかご紹介します。
- 全か無か思考(完璧主義): 「完璧にできなければ意味がない」「少しでも失敗したら全てがダメ」と極端に考えてしまうクセです。これにより、一歩を踏み出すこと自体をためらってしまいます。 例:「資格試験に満点じゃなければ意味がないから、勉強を始められない」
- 過度の一般化(一度の失敗で全てを判断): 一度や二度のネガティブな経験から、「どうせいつもこうなる」「私にはこの分野は向いていない」と結論付けてしまうクセです。 例:「プレゼンで一度失敗したから、もう人前で話すのは無理だ」
- すべき思考(自分を追い詰める): 「〜すべきだ」「〜しなければならない」という rigid(硬直した)なルールを自分に課し、それに反すると自分を責めてしまうクセです。 例:「管理職なのだから、どんな時でも完璧なリーダーシップを発揮すべきだ」
- 自己関連づけ(何でも自分のせいにする): 自分とは関係ないことや、コントロールできないことまで、全て自分の責任だと考えてしまうクセです。 例:「チームの売上が目標未達なのは、全て自分の指導力のせいだ」
もし心当たりがあるなら、それは決してあなたが弱いからではありません。誰もが持つ可能性のある「思考のクセ」なのです。
思考のクセに気づき、キャリアを拓く3つのステップ
では、これらの思考のクセに気づき、それを乗り越えて、未来をポジティブにデザインするためにはどうすれば良いのでしょうか。
ステップ1:「気づく」:あなたの自動思考をキャッチする
まずは、自分の心の中にどんな「自動思考」が生まれているのかを意識的にキャッチする練習をしましょう。
- 「不安だな」「やる気が起きないな」と感じた瞬間、どんな言葉が頭に浮かんだか?
- 「失敗した」と感じた時、自分にどんな言葉をかけているか?
小さなメモ帳やスマートフォンのメモ機能を使って、その瞬間に浮かんだ考えを「そのまま」書き出すことから始めてみてください。感情を交えずに、事実だけを記録する練習が効果的です。
ステップ2:「見つめ直す」:その思考は本当に正しいか?
次に、キャッチした自動思考を、少し離れた場所から客観的に見つめ直してみます。
- 「その思考の根拠は本当に十分にあるか?」
- 「他に、この出来事を説明できる別の可能性はないか?」
- 「もし、親しい友人が同じ状況だったら、どんなアドバイスをするか?」
「〜べき」「〜に違いない」といった決めつけの言葉を疑い、柔軟な視点を取り入れてみましょう。例えば、「プレゼンで失敗した」という思考に対して、「一部うまくいかなかったが、聞き手の〇〇さんは頷いていたな」「あの部分は好評だったはずだ」など、多角的に見つめ直します。
ステップ3:「置き換える」:新しい視点を取り入れる
最後に、より現実的で、前向きな「代替思考」を見つけて、心の中に置き換えていきます。
- 「完璧でなくても、まずはスモールステップで一歩進めば十分だ」
- 「今回はうまくいかなかったけれど、この経験から学べることは何だろう?次はこうしてみよう」
- 「確かに課題はあるけれど、自分には〇〇という強みがある。それを活かしてできることはないか」
- 「自分一人で抱え込まず、誰かに相談してみよう」
このように、自分の思考パターンに気づき、見つめ直し、建設的なものに「置き換える」練習を繰り返すことで、ネガティブな思考に囚われにくくなり、行動への心理的なハードルが下がっていきます。
キャリア支援者として、あなたの「思考のクセ」をサポート
「思考のクセ」は、長年の習慣によって身についたものです。一人でそれに気づき、変えていくことは、簡単ではないと感じるかもしれません。
私たちキャリアコンサルタントは、あなたの心の声に耳を傾け、一人では気づきにくい「思考のクセ」を客観的に見つけるお手伝いをします。そして、ネガティブな感情に寄り添いながら、より健康的で前向きな思考パターンへと転換できるよう、具体的な練習を共に実践し、伴走いたします。
あなたの未来は、「あなたの思考」でデザインできます。「どうせ私なんて…」という思い込みを手放し、あなたらしい可能性を拓いていきましょう。
キャリアの小径 Vol.18
【あなたの「思考のクセ」を知り、未来を拓くお手伝いをします】