🌱リスキリング支援制度の今とキャリアの未来〜プロが語る活用術と所感〜

近年、「リスキリング」という言葉は、私たちのキャリアを考える上で欠かせないものとなりました。そして今、国や自治体もこのリスキリングを強力に後押しする動きを見せています。

しかし、「どんな支援制度があるの?」「自分も使えるの?」と、具体的な情報が分からず、一歩を踏み出せずにいる方も少なくありません。

今回は、プロのキャリアコンサルタントとして、私たちが注目するリスキリング支援制度、特に個人が活用できる制度を中心に解説し、その活用術と、これらの動向があなたのキャリアにどう影響するかについて、所感をお伝えしたいと思います。


国が後押しする「リスキリング」の波〜個人向け支援制度の活用がカギ〜

政府は、デジタル化の進展や労働市場の変化に対応するため、個人のリスキリングを強力に推進しています。その中でも、個人が直接活用できる代表的な制度がいくつかあります。

1. 最も身近な支援制度「教育訓練給付制度」

個人がリスキリングを始める上で、まず知っておきたいのが「教育訓練給付制度」です。これは、働く人の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした制度で、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した場合に、受講費用の一部がハローワークから支給されます。

この制度には、主に以下の3種類があります。

  • 特定一般教育訓練給付金:
    • デジタル分野など、速やかな再就職やキャリアアップに資する教育訓練が対象。
    • 受講費用の**40%(上限20万円)が支給され、訓練修了後1年以内に目標とする資格取得等をして、雇用保険の被保険者として雇用された場合は、追加で20%(合計60%、上限40万円)**が支給されます。
  • 専門実践教育訓練給付金:
    • 中長期的なキャリア形成に資する専門的・実践的な教育訓練(専門職大学院、大学院、専門学校など)が対象。
    • 受講費用の**50%(年間上限40万円)が支給され、訓練修了後1年以内に目標とする資格取得等をして、雇用保険の被保険者として雇用された場合は、追加で20%(合計70%、年間上限56万円)**が支給されます。
  • 一般教育訓練給付金:
    • 上記以外の、雇用の安定や再就職の促進に資する教育訓練が対象。
    • 受講費用の**20%(上限10万円)**が支給されます。

【制度活用のポイント】

  • 対象者: 雇用保険の加入期間など、一定の条件を満たす必要があります。
  • 対象講座: 厚生労働大臣が指定した講座のみが対象です。受講前に必ず確認しましょう。
  • 申請手続き: 受講前と受講後にハローワークでの手続きが必要です。

2. 私自身の経験から〜自治体独自のリスキリング支援にも注目〜

私自身、教育訓練給付制度の条件に該当しなかった経験があります。その時、「リスキリングを諦めるしかないのか…」と一瞬思いました。しかし、キャリアスクールの担当者から教えていただいたのが、自治体独自のリスキリング支援制度でした。

例えば、私が活用したのは「大阪府スキルアップ支援金」です。これは、大阪府が府民のスキルアップを支援するために設けている制度で、特定の要件を満たせば、資格取得や講座受講にかかる費用の一部が給付されるものです。私の場合、この支援金のおかげで、講座の受講を決意し、給付を受けることができました。

このように、国だけでなく、各自治体が独自にリスキリングや学び直しを支援する制度を設けている場合があります。教育訓練給付制度の対象外だったとしても、諦める必要はありません。ぜひ、お住まいの地域や勤務地の自治体のウェブサイトなどで、どのような支援があるか調べてみることをお勧めします。思わぬ支援が見つかるかもしれません。


企業向けリスキリング支援制度(簡潔に)

企業が従業員のリスキリングを支援するための制度としては、主に「人材開発支援助成金」があります。これは、企業が従業員に職務に関連した専門的な知識・技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

企業がリスキリングに積極的であれば、従業員としてこの制度を活用できる可能性もありますので、勤務先の人事担当部署に確認してみるのも良いでしょう。


キャリア支援者として見る、リスキリング支援制度の「真の価値」と「活用術」

これらの支援制度が充実してきたことは、私たちキャリア支援者にとっても非常に喜ばしいことです。しかし、制度があるからといって、やみくもに飛びつくのは少し待ってください。

制度は「手段」であり、「目的」ではない

給付金や助成金は、リスキリングへの一歩を踏み出すための強力な「後押し」になります。しかし、重要なのは「何にいくらもらえるか」だけでなく、**「その学びが、あなたのどんな未来に繋がるのか」**という視点です。

私たちは、制度の利用を検討する際にも、まずあなたの「自分軸」となるキャリアプランを明確にすることからサポートします。

  • 本当にそのスキルが必要か?
  • 学んだ後、どう活かしたいのか?
  • あなたの価値観や強みに合っているか?

これらの問いをクリアにすることで、制度を最大限に活用し、後悔のないリスキリングを実現できます。

複雑な制度を「賢く」活用するための伴走

教育訓練給付制度をはじめ、各種支援制度は対象講座や申請手続きが複雑に感じるかもしれません。私たちキャリアコンサルタントは、そうした制度の情報を整理し、あなたが**「どの制度を」「どのように活用すれば良いか」**を具体的にアドバイスします。

また、制度の利用可否だけでなく、その学びがあなたのキャリアにとって本当に最適な選択なのかを、客観的な視点から共に考えます。


まとめ:リスキリング支援制度を「あなたの未来」のために

リスキリング支援制度は、学びたい意欲のある個人にとって、大きなチャンスです。しかし、そのチャンスを最大限に活かすためには、制度の利用を「目的」とするのではなく、**「あなたの理想のキャリアを実現するための手段」**として捉えることが重要です。

私たちは、あなたが制度を賢く活用し、自信を持ってリスキリングに挑戦できるよう、そしてその学びが確実にあなたの未来を拓くよう、全力でサポートいたします。


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