🌱 経験を「誰かのため」に活かす ── 成熟した「有能感」を取り戻す
前回の記事(Vol.80)では、他人の評価という縛りを解き、自分が「人生の操縦席」に戻る「自律性」について考えました。
自分の足で立ち、自分の意志で選択を始めるとき、次に欲しくなるのは「自分には力がある」「自分の存在が周囲の役に立っている」という確信です。
今回は、自己決定理論の2つ目の鍵である「有能感(自分には能力があり、貢献できているという感覚)」について、ご自身の歩みと重ね合わせながら深めてみませんか。
「勝つためのスキル」から「手渡すための経験」へ
キャリアの若手〜中堅期における「有能感」は、往々にして他者との比較や成果によってもたらされます。
- 誰よりも早く目標を達成する
- 難易度の高いスキルを身につける
- 周囲より抜きん出た成果を出す
こうした「勝ち負け」や「比較」に基づく有能感は、成長のための強い燃料になります。
しかし、経験を重ね、一通りの仕事をこなせるようになったとき、この「他者との比較による有能感」だけでは心が満たされなくなっていきます。
これからのフェーズで大切になるのは、「自分の知識や経験、あるいは自分という存在そのものが、目の前の誰かの力になっている」という実感です。
「当たり前」の中に眠る、あなただけの価値
「自分には誇れるような特別なスキルなんてない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、長年仕事と向き合う中で培ってきた「配慮の行き届いた気配り」「場の空気を和らげる対応力」「トラブルの予兆を察知する感覚」といったものは、あなたにとっては「当たり前」すぎて意識できていないだけの、立派な専門性です。
自分の有能感に気づくヒントは、目立つ成果の中ではなく、誰かから「助かりました」「ありがとう」と感謝された、日常の小さな瞬間の中に隠れています。
あなたの心に投げかけたい「内省の問い」
自分の内側にある「成熟した有能感」をそっと掘り起こすために、次の問いに向き合ってみてください。
「これまでの歩みの中で、成果や数値とは関係なく、『自分らしく良い仕事ができたな』と密かに誇らしく思えた瞬間はいつですか?」 「あなたの経験や知識、関わり方は、今『どんな人』の力になれそうでしょうか?」
他者との比較を卒業し、「誰かの役に立っている手応え」を感じること。それが、あなた自身のキャリアに揺るぎない自信をもたらしてくれます。
あなたの「経験と価値」を丁寧に言葉にしていくために
自分の強みや「人に分け与えられる経験」は、自分一人で考えていると「こんなの誰でもできることだから」と見過ごしてしまいがちです。
他者との対話の場を通じて、これまでの歩みを客観的に振り返ってみることで、自分では気づけなかった「あなただけの確かな価値」が浮き彫りになっていきます。
これまでの道のりに誇りを持ち、それをどう誰かに届けていくか。一度じっくりとご自身の経験を言葉にしてみませんか。
キャリアの小径 Vol.81
【心軽やかに自分を生きるための対話を,Happathと共に】

